読書百冊意自通ズ覚書

読んだあと、何かしらの余韻を残していく物語たちを、みんなどんな風に読んでいるのだろう?The note of reading one hundred books makes you understand more clearly.

リア王

面白かったが、教養がなく&頭悪い(=理解度低い)せいで、けっこう読むのに苦労してしまった。 コーディリアが死んだことで驚いていたのに、リア王まで死んでさらに驚いた。 作中でケント伯が言っているように、とっくに死んでいるところの寿命を長くして…

忠臣蔵とは何か

想像していたのとは結構違うところから書き出されていて、ちょっとびっくりした。 内容というよりも、構成部分のことだ。 御霊信仰のことも、カーニバルのこともよくわかるし、曽我物語から入っていくのもうまい(納得できるし)が、いかんせんこの曽我物語…

大いなる遺産/上下

最も有名なディケンズの作品といえば『クリスマス・キャロル』であり、それ以外の作品で初めて読むのがこの『大いなる遺産』となった。 上巻の始め、主人公ピップが幼い頃、脱獄した囚人に脅されて、やすりとポーク・パイを届け、その後「囚人狩りの見物」に…

THE Death NOTE...

今週のジャンプで最終回を迎えたDEATH NOTE。 これ、中学生の男の子とかに大人気だそうですね。こーゆー、ちょっとアタマ使う系がオモシロイのかもね。 デスノって、ライトの悪知恵ぶりとか、Lとの駆け引きとか、作品の全体の雰囲気が浦沢直樹の『MONSTER』…

翻訳夜話2 サリンジャー戦記

タイトルの通り、本書は2003年4月に出版された村上訳のサリンジャー著『キャッチャー・イン・ザ・ライ』について語られていて、『キャッチャー』とサリンジャー以外の事については一切書かれていない。 『キャッチャー』出版の直前に「泣く泣く巻末から外す…

の・だ・め・カンタービレ♪

今日のお題はコレ。 薬局で待っている間、雑誌をペラリ… とめくると、あるじゃないか、見開き『のだめカンタービレ』解説ページ。話題のコミックを紹介する簡単なページだったのだが、驚いたのは、 の、のだめって「野田恵」のことなのか……!(驚愕) (驚愕…

キャッチャー・イン・ザ・ライ

よくある話だけど、この『キャッチャー・イン・ザ・ライ』――ライ麦畑でつかまえて――も、何となく自分で考えていた話と、だいぶ違っていた。 いわゆる「青春の文学」として名高い作品だし、もちろん一度は読もうと試みた。ちゃんと十代の時に。 でもその頃出…

アイシールド21

二人忘年会に、「アイシールド面白いよ~」と友人が14巻までまとめて持ってきて下さりました。(車で)(神か) や~、アイシールド21面白かった。夜中3時半まで寝ないで一気に読んじゃった。 やっぱりスポーツ漫画は一気に読めるのがいいね!どうしても試合…

誘拐

一頁目をめくり、冒頭の「謝辞」の部分を読んで、この本がガルシア=マルケスの描く誘拐の「物語」ではなく、数々の人を苦悩と悲劇に陥れた、コロンビアで実際に起こった誘拐事件の記録である事を知った。 私は少なからず衝撃を受けた。なぜなら、誘拐事件と…

チャーリーとチョコレート工場

ジョニー・デップ&ティム・バートンのなんとも面白そうな映画じゃ、公開前から気になっていた。 ジョニデは「ノイズ」('99)で「何て演技の上手い役者だろう!」と思ったのがきっかけでチェックするようになりました。映画の出来はあんまり出来は良くなかっ…

百年の孤独

大天使ガブリエルの名を持つ、ラテン・アメリカ文学界において最も偉大な作家の一人、ガブリエル・ガリシア=マルケスの作品の中で、最も有名にして大長編、「空前のベストセラー」[1]であり、1982年にノーベル文学賞受賞に至る作品となったのがこの『百年の…

十二の遍歴の物語

十二の短編の目次を読む前に見て、ガルシア=マルケスはまだ二冊目だけれど、好きなタイプの作家だと悟った。好感が持てる[1]タ イトルの羅列。タイトルに惹かれたまま、本文に入る。 始めに持った期待感、物語的世界(つまりガルシア=マルケスワールド)は…

ママ・グランデの葬儀

初のガルシア=マルケスの著作を、実際に図書館で借りるに至るには、丸谷の書評[1]の存在が大きい。丸谷はわりとラテン・アメリカ文学を、ガルシア=マルケス、バルガス=リョサ、ボルヘス、等の作家の書評を書いている。それで、ガルシア=マルケスに限らず…

プードル・スプリングス物語

未完のままチャンドラーがこの世を去ってしまった後で、後世のハードボイルド作家、ロバート・B・パーカーが後を引き継ぎ、完成させたのがこの『プードル・スプリングス物語』である。 プードル・スプリングス物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: レイモン…

翻訳夜話

基本的には翻訳をやりたい人(又はしている人)向けの本だ[1]ったと思う。 もちろん、翻訳する、、わけではなくても、興味があったり、翻訳小説をよく読んだりする人であれば興味深く読める内容だろう。 このように実際翻訳を――特に小説の、ということになる…

アーサー王ロマンス

続けて読めばもっと理解も深まるだろうと思い、『アーサー王の死』の次[1]はこの本を読もうと決めていた。ある分野の本を統計的に読むと、それぞれの本が互いを補いあうので、理解を深めるにはとてもいい。[2] この順序についておいてよかったと、読み始めて…

アーサー王の死

これ以上ないくらい有名な、アーサー王の本を読もうと思ったきっかけは、下記の2つのマンガにある。 ひとつめは、高河ゆん著の『超獣伝説ゲシュタルト』。 このマンガに「ランスロット」が登場していて、他でもよく見かける名前だし、興味が引かれた。 ふた…

恐怖の谷

ドイル卿、加えて私の好きな翻訳者、阿部知ニ[1]氏。こういう組合せになると、訳がうまいとか下手とかいう事に気を取られなくていい。その先のところから始められる。 巻末の解説によると、 「内外を問わずドイルの長篇では『バスカヴィル家の犬』がもっとも…

『他人の顔』作品論 ─ 砂の城 ─

主人公である「ぼく」は、高分子化学研究所に勤める中年の男で、実験中、薬品を浴びて蛭の塊のようなケロイド状の顔になってしまう。 そして、顔を「喪失」してしまったぼくは、人々の対応の変化にとまどう。 自分は変わっていない。ただ顔を失くしたくだけ…

うたかた/サンクチュアリ

初めて吉本ばななを読んだ。 今まで何の理由もなく(というのは多少語弊があるけれども)避けていたのだけれど、友人が貸してくれ、まぁいいきっかけかな、と思って開いた。こんなことでもなければついに手に取る機会(タイミング)を失し、読まずじまいだっ…

愛は苦悩とともに─パーフェクト・ファミリー

ペニー・ジョーダンという作家は、ハーレクイン小説の作家なので、多くの作品を読んでいるわりに覚書には登場していない。 しかし彼女の作品の中でも、大型の長編小説が何作品かあり、これが通常のハーレクインシリーズとは違い「文芸書」と名打たれているだ…

シャーロックホームズの事件簿

翻訳された外国小説を、最近以前にも増して読んでいる。そのせいか、文章の良し悪しというものが掴めるようになってきた気がする今日この頃。 しかしその、文章の良い・悪いというのが、 1. 翻訳者の力量による 2. 原作者の文章力による のどちらなのかとい…

ホテル・ニューハンプシャー/上下

たいていの名作がそうであるように、この本もわかるようなわからないようなこと (それは物語を読み進めていくうちに次第に鮮明になり、しまいにはすっかり理解される)が冒頭にこと細かに――そう、たいてい執いくらい入念に書かれているもの なのだ、なぜか―…

数学者の言葉では

新聞のコラムで本書について知った友人は、こりゃ面白そうだ、と思ってこの本を手に取ったという。確かに、話に聞くだに面白そうだ、と思って借りた。 数学者の道を目指したが、孤独や厳しさに負けてしまったハナのことや、「学問を志す人の性格条件」につい…

走れメロス

今まで読んだ太宰作品[1]は、どうやら晩年(後期)のものばかりだったようで、中期の作品が多いこの短編集で持っていたイメージがずい分と変わった。 晩年の作品に比べて、一言で言うとやる気を感じる。頭で考えていることよりも、心象が描かれているとでも…

ホルムヘッドの謎

始めの方をちょこっとだけ読み、そのままにしちゃっていた本書。なぜなら、『イギリスはおいしい』『イギリスは愉快だ』 [1]の方が面白かったからである。 しかしこの本で大発見!したのは、ロンドンを旅行していた際、個人的、ごく勝手に「島」と呼んでいた…

遊び時間2

2からいきなり読んでいるのは、友人が1を貸す前に「2」を貸してくれたからである。 たぶん、あの人の部屋のどこかには「1」があるのだらうけれど、例によつて例の如く、 他の本に埋もれて発見するのは至難の業、という状態なのでせう。本人に言はれなくつた…

大いなる眠り

フィリップ・マーロウの映画としては最も有名と思われる、“三つ数えろ(1946)”[1]の原作、『大いなる眠り』"The BigSleep" である。 ちなみにマーロウの一番の代表長篇といえば、やはり『長いお別れ』"The LongGoodbye" だろうか。この『大いなる眠り』もも…

光る源氏の物語

非常に興味深く、面白かった。 すごく不思議だなあと思ったのは、源氏が死んでから(光がこの世になくなってから)何かつまらない。この二人の対話がつまらないのではなくて、テクストの内容が変化して、それまでよりつまらなく感じる。これには驚いた。 だ…

はじめてお越しの方は必ずお読み下さい。

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