読書百冊意自通ズ覚書

読んだあと、何かしらの余韻を残していく物語たちを、みんなどんな風に読んでいるのだろう?The note of reading one hundred books makes you understand more clearly.

独断と偏見によるお勧めアニメ選。

職場の同僚がコロナをきっかけにアニメを見始めた、とのこと。聞けば意外と趣味も合いそう。過去に見た面白い作品について話したところ、いつの間にかまとめてリストにすることになっていた。 そしてやり始めたらめちゃめちゃ楽しく、かなり力を入れてしまっ…

夜はやさし 上下

フィッツジェラルド最後の長編小説[1]となってしまったこの『夜はやさし』(原題 "Tender is The Night")、なんとも悲しさを感じさせるタイトルである。 夜はやさし(上) (角川文庫) 作者: フィツジェラルド,谷口陸男 出版社/メーカー: 角川グループパブリッ…

世界がわかる宗教社会学入門

「難しいことを易しく解説してくれる」橋爪先生に、『はじめての構造主義』[1]以来、まったくを以って大・感銘を受けていたので、この「宗教社会学入門」なんてまさに打ってつけ、という思いで手に取った。しかも「世界がわかる」おまけ付き。ちょうどユダヤ…

愛は試練に満ちて―パーフェクト・ファミリー―

パーフェクト・ファミリーのシリーズで、初めて続きが気になる、と楽しみにしていた本書。 前作[1]から、問題が起きそうなまま終わってしまった、リビーとキャスパーという二人の夫婦の物語である。 この二人が、「幸せな結婚」というハーレクイン的結末のあ…

ユダヤ人と疎外社会 ―ゲットーの原型と系譜

ゲットーについて書かれたのが本書である。ユダヤ関係の本を連続して読むのなら、ゲットーは一度は勉強しておいていい題材だと思うので、適切な本だったと思う。 しかし、前作の『ユダヤ人と有史以来』[1]と同様、無教養(というか、教養うんぬん以前に、理…

キッチン

思えば吉本ばななという人を、一躍有名にしたのはこの『キッチン』だった(はず)。 吉本ばなな好きな友人に「実は今頃になって初めて吉本ばななを読んだ」という話をしたら、ばななと言えば『キッチン』だ、と言われてそんな事を思い出した。 友人は年に何…

15th Anniversary

読書百冊意自通ズ覚書も、本年でこうして公開から、15年を迎えました。 そしてはてなブログに引っ越しいたしました。 15周年なので引っ越ししよう、と思ったわけでは全然、全くなく、唐突に「よし、引っ越そう!」と思い、引っ越し作業をしているうちに、「…

スカイフォールに関する覚書 ―― 過去との決別、新たな00へ [007 スカイフォール]

アクションは派手さはなく重めだが迫力あり。 テーマが暗い。画面もどんどん暗くなる。 暗く、なにもないボンドの生地で、Mもろとも過去を葬り去る、というのが話の軸だったんだろう。ボンドカーも粉微塵。生家も跡形も残らないほど派手に爆発。 ボンドの生…

10th Anniversary

本日、サイト開設10周年を迎えました。 十年一昔と言いますが、一昔も前(!)から始めたことになります。 親しんだ読書の世界から離れてしまわないように、なにか始めよう、とスタートした覚書でした。 覚書をしていくうちに、ほかの人はこの物語をどんなふ…

ユダヤ人は有史以来 パレスチナ紛争の根源/上下

ユダヤ人について知りたいのでなにかありませんか、と恩師に尋ねたところ、薦められたのが本書と、ルイス・ワース著の "The Ghetto" であった。動機は忘れてしまったが、まとめて読んで知識を身につけようと思ったことは覚えている。 そもそも学校教育の現場…

半日の客 一夜の友

二人の対談が100回を超えていた(!!)ということが今回わかり、本当に驚いた。対談は何冊も読んでいるし、相当やっているだろうということは考えるまでもないけれど、100回を超えているというのはさすがに脅威の数字だろう。 そして真に驚くべきは、回数も…

文学全集を立ちあげる

まずびっくりしたのは、丸谷があまりしゃべっていない、ということだ。 まぁ丸谷もお年だし、オブザーバーとして考えていたのかな、と思うけれど、それにしてもびっくりするくらいしゃべっていない。今までの対談では、だいたい丸谷の様々な知識や見解が展開…

挨拶はむづかしい

挨拶に関するエッセイだと勝手に思っていたが、何のことはない、丸谷が今まで実際にしてきた挨拶集だった。 しかし、驚くくらい様々な場面で挨拶をしている。作家も丸谷くらいになると[1]、挨拶する機会も多くなるのだろう。かなり色々な人と交流があるのだ…

アムリタ/上下

吉本ばななの前回の覚書、『うたかた・サンクチュアリ』より、個人的にはずっと面白かった。妹の元恋人・竜一郎という人がうまく書けていたし、主人公・朔美の雰囲気も良かったと思う。メッセージ性みたいなものも感じられた。 このお話の、霊が見えるように…

シャーロック・ホームズ最後の挨拶

シャーロック・ホームズの作品もだいぶ読んでしまったが、いつ何時その作品をひも解いても、その楽しみというものが損なわれることがない。どんな時もホームズとワトソン博士に再び巡り会える楽しみを感じさせてくれる。だからこそ、世にはシャーロキアンな…

マイ・ロスト・シティー

冒頭の「フィッツジェラルド体験」で、本書の訳者・村上春樹がいかに優れた評論家でもあるか、証明されているように思う。作品を読む前に、その内容に驚かされ、感心させられてしまった。 むろん、タイトルに「体験」とあるように、極めて個人的な体験に基づ…

ホンモノの日本語を話していますか?

最近、「日本語について」書かれた本がちょっとしたブームになっていた。ブームの火付け役は『声に出して読みたい日本語』という本だったと記憶している。この本が売れ始めてしばらくすると、雨後の筍の如くに似たようなタイトルの本が続出した。日本語がど…

GO

直木賞作品である。映画にもなっている。 窪塚洋介主演で話題になったけれど、個人的にはそれがよくなかった。映画は観ていないけれど、CMの効果とは恐ろしいもので、どうしても主人公が窪塚洋介でしかイメージできないし、どうがんばっても桜井も柴咲コウに…

愛は望郷のかなたに―パーフェクト・ファミリー―

今回のパーフェクト・ファミリーは、前回のマックス編でちらりと登場していた男・デイビット編です。この人は恐らく始めの段階で登場しているのだろうけれど、覚えがない。ジョナサンの双子の兄としての認識しかなかった。 ハーレクイン小説だけあって、この…

青い雨傘

つくづく思うのだけれど、丸谷は文章が上手い。こう、スッと入ってくる。 途中で少し難しい話題になっても、スッと入ってサラッと説明してまたスッと本論というか元に戻る、その辺りも絶妙だ。 文章の学問的なことはさっぱりなのだけれど、解説の鹿島茂氏に…

冒険者たち

グラスハートは1巻が出た時から読んでいた。当時もうすでにこの作家の本を読んでいなかったはずなんだけど……橋本みつるのイラスト[1]がよかったから手に取ったのだろうか。 冒険者たち―GLASS HEART (コバルト文庫) 作者: 若木未生,羽海野ちか 出版社/メーカ…

日本語のために

本書は昭和四十年代に盛んに取り上げられていた「国語改革」の動向というものを見、それについての丸谷才一氏の意見――当時の論調と氏の考える国語改革のあり方というもの――が書かれている本である。 日本語のために (1978年) (新潮文庫) 作者: 丸谷才一 出版…

子ども向け英語絵本。― 快読100万語!ペーパーバックへの道

この本に従って最近イロイロ手を付けている。 と、いっても洋書は高いし、とにかくたくさん読むことがポイント。 そこでちょっと面倒だったけど、母校の大学図書館で借りて、もりもり読んでいる。(本書を読んだ人はわかると思うけど、とりあえず多少は英語…

ものぐさ精神分析

かなり昔に中々面白いからと親に勧められた本である。確か、高校生の時だったと思う。 理解の授業でダーウィンの進化論とか、相似器官、相同器官をやっていて、キリンの首が長くなったことについて話している時に、「象は鼻が長くなりたい、と思ったから長く…

熊を放つ/上下

読み終えるのに、とても時間がかかった本書。それというのも、殊に上巻の前半が非常に読みにくかったせい、である。 しかし、果たしてアーヴィングの文章が読みにくいのか、訳者の訳が読みにくいのか、判断つきかねるので、まだその結論は出さないでおくこと…

太宰治・人と作品 1

恩師に借りた本。この清水書院のCentury Booksというのは作家についと作品について書かれたシリーズで、全38冊あり、恩師は全て持っているそうだ。さすがです。 授業で使う(勉強する)ために若い頃買ったらしい。確かに授業で使えそうで、ためになる。そん…

オンリー・ミー ~私だけを~

友人が貸してくれた本なのだが、 けっこう長いことほっぽり出してあって[1]、次に会う時までに読み終わらねばならぬ!と息せき切って読み終えた。なぜなら、前半はいまいちだからだ。 しかし後半はすごく面白くて、電車の中で何度も肩が震えてしまった。ま、…

ソフィーの世界~哲学者からの不思議な手紙/上

哲学の本というのは初めて読んだ。この本、当時バカ売れしたベスト・セラー本だが、それにしては難しい気がする。まぁ、哲学の本なんだからある程度難しいのは当たり前か。 色々な哲学者の色々な、そして微妙に違う主張が続くので、途中でわけがわからなくな…

無意識の構造

個性的であるとか文学的であるとかいうことをまったく考えなければ、河合隼雄はもの凄く文章が上手である。そう深く思わせる本だと思う。 とても難しい内容なのに、実にわかりやすい。丁寧に説明されているし、何より文体が、というか文章そのものが軽い。の…

のだめカンタービレ #23 - The Last Lesson

最終巻!? 11/27に新刊が出ることはAmazonで見て知っていたけど、朝ラジオCMで「感動のフィナーレ!」的なセリフを耳にして、びっくりしながら本屋へ向かい… 最終巻だった。 そろそろ終わるだろうとは前巻22巻でも思ったけど、続き1冊で終わるとは……!完全な…