無意識の構造
個性的であるとか文学的であるとかいうことをまったく考えなければ、河合隼雄はもの凄く文章が上手である。そう深く思わせる本だと思う。
とても難しい内容なのに、実にわかりやすい。丁寧に説明されているし、何より文体が、というか文章そのものが軽い。のだ。
前回の『子どもの宇宙』よりは内容も高度だったし、ずい分学術的だったせいで、難しいことは難しいのだけれど、それにしたって他の人に同じ事書かれても、きっと理解できないと思う。
ユングの言う、「普遍的無意識」というのは、よくわかる気がする。卒論(村上春樹作家論)で、「なぜ羊なのか、そのシンボルの理由」というトピックを書いたけど、つまりこういうことなのだ。人の普遍的無意識の中に存在するシンボルとしての羊。
ペルソナのところも大変よくわかった。それにしても、アニマ=エロス、アニムス=ロゴス、というのには深い納得を感じる。男はやっぱエロスだな。うむ。
夢のところもとても面白くて、自分の夢も河合先生に聞いてほしいくらいだ。
色んな意味で勉強になる本です。河合氏の他の学術的な本ももっと読みたい。
面白かったです。