読書百冊意自通ズ覚書

読んだあと、何かしらの余韻を残していく物語たちを、みんなどんな風に読んでいるのだろう?The note of reading one hundred books makes you understand more clearly.

ホンモノの日本語を話していますか?

最近、「日本語について」書かれた本がちょっとしたブームになっていた。ブームの火付け役は『声に出して読みたい日本語』という本だったと記憶している。この本が売れ始めてしばらくすると、雨後の筍の如くに似たようなタイトルの本が続出した。日本語がどうとか、国語がどうとか、そういう内容の本だ。

 この本もその手の波に乗った本、に思えるし、実際内容のジャンルについては全く同じなのだけれど、この本こそ、書くのに相応しい人の著作であるというところが、他のどの本とも違うところと言えるだろう。
ホンモノの日本語を話していますか? (角川oneテーマ21)
 

 

 本書は恩師に勧められ、初めて著者の本を読んだ。 

 国語学者というから、さぞかし小難しい書き方がされているんだろう、と半ば覚悟して本書を開いたのだけれど、予想はいい意味で裏切られた。とても軽く、著者の人柄を思わせるような読みやすい文体だったのだ。

 それで、どんどん引き込まれて読めた。文章は軽いけれど内容はしっかりしていて、読み応えもあったし、面白かった。
 
 個人的に特によかったと思ったのは、「性格―日本人が語学の天才と言われるわけ」。
 日本人が語学の天才?ハテナ?である。
 バイリンガル(英語+@)どころか何ヶ国語も喋れる、というのは、外国人の方が圧倒的に多い。(気がする)
 それというのも、日本語は英語と文法の構造からして全く違うけれど、ヨーロッパ語圏は文法がよく似ているから、日本人ほど習得に苦労がないからだ、とよく聞く。そういうことならまぁ仕方がないことなのだろう。
 しかし著者は
「『日本人はいろいろな人と、違った言葉で話すでしょう。ヨーロッパ人だったら、三ヶ国語くらいの言葉を使い分けているのと同じです』」(p.10)
という。
 それくらいの違いしかないのか!と改めて驚くと同時に、日頃、英語が話せたらなァ、日本人は英語ができないからなァと茫洋と思っていた私は、なんだかすごく嬉しい気分にさせられた。
 
 それから、「文法2ー日本語だから九九が覚えられる」(p.32)にも驚いた。外国人は九九一つ覚えるのも大変なのだということがわかる。日本語って素晴らしいのだ。
 
 全体的に面白かったけれど、中でも「1知っておきたい日本語の特徴」がよかった。
 著者が、日本語(日本人)って素晴らしい言葉(民族)だというところに立って書かれている点にも、日本人として非常によかったと思うところである。
 英語や外国語ばかりに気を取られがちだけれど、日本語は素敵な母国語なのだ。