読書百冊意自通ズ覚書

読んだあと、何かしらの余韻を残していく物語たちを、みんなどんな風に読んでいるのだろう?The note of reading one hundred books makes you understand more clearly.

太宰治・人と作品 1

恩師に借りた本。この清水書院のCentury Booksというのは作家についと作品について書かれたシリーズで、全38冊あり、恩師は全て持っているそうだ。さすがです。

 授業で使う(勉強する)ために若い頃買ったらしい。確かに授業で使えそうで、ためになる。そんな本である。
 このシリーズで読んでみたいのは、やはり漱石と、佐藤春夫とか芥川、正宗白鳥坪内逍遥田山花袋など、どんな作品を残したのかほとんど知らないような人たち[1]だろうか。これ一冊ですごくわかりそうだ。

太宰治 (センチュリーブックス 人と作品 1)

太宰治 (センチュリーブックス 人と作品 1)

 


 太宰について、生い立ちなどは思い出とか、それこそ富嶽百景、東京八景と内容的には重複していた。ただ、小説には書かれていないこと、特に師匠の井伏鱒二のことや、友人の壇一雄の行動なんかがよくわかる。補完にもってこいといえよう。


 しかし、つくづく、こんなにどうしようもない人を、井伏鱒二をはじめ、借金されたりした仲間の友達はよく見捨てなかったなァと思った。見捨てないどころか、みんな面倒見よかったりする。

 太宰が無茶苦茶するのが一度や二度なら、わかるけれど、読み進めて溜め息が出るほど、この人何度もどうしようもない。結婚相手まで世話した井伏先生の立場はどうなるんじゃい。だいたい、始めからして「会ってくれなきゃ自殺する」[2]だもんなぁ。本当に滅茶苦茶な人だ。


 それでもみんな最後まで手を差し伸べてくれたところを見ると、何か人を引きつけるものを持った人だったのだろう。

 

 作品紹介では主な作品を取り上げていて、あらすじとプラスαのところというのがわかって、よかった。
 とにかく、太宰はつくづく無茶苦茶な人ということがよくわかる本。
 そして改めて、井伏先生を尊敬。

 

notes
[1] 一般に知られていないという意味ではもちろんなく、無知な私が知らないだけ。だいたい、「正宗」なんて聞いても「菊正宗清四郎」しか思い浮かばない。本当に国文科出なのか?(菊正宗清四郎は一条ゆかりの代表作『有閑倶楽部』の登場人物。この漫画は主要登場人物の名前が全てお酒から取られている。)
[2
太宰は井伏鱒二にそう言って面会の機会をもぎ取った。