坊っちゃん
映画やTVなどでずいぶん映像化されているので、どうもそのイメージが強かったよう。そのどれひとつとして見たことはないのだけれど、断片的な映像を見て誤った情報としてインプットされていた。(それはインプットする時、自分で間違えていただけ)
だって山嵐ってワルモノだと思ってたし、マドンナって坊ちゃんが赴任した先の学校にいるみんなの憧れの美人先生だと思っていたし、生徒と紆余曲折しながらさながら金八先生のように(時代は逆ですが)信頼関係作っちゃうような話だと思ってたもんなー。
全然違いますね。(沈黙)
解説の平岡敏夫さんが言っているせいかもしれないが、坊ちゃんは哀切感をにじませて、涙なくしては読めない(P.171参)と思う。何だかずいぶん、切ない。特に清のことが出てくると、それはもう、切ない。何だかずいぶん、想像と違う。
親に愛されなかった坊ちゃんが、愛しんでくれる清を大切にし、結局東京へ帰ったり、そのあと月給が安い職につき、しばらくして清は逝き……坊ちゃんの性格が真っすぐであればあるほど、赤シャツの狡猾さや生徒たちの心ない行動に悲しくなってしまう。
いつの時代も正直すぎる人、真っすぐな人には、世の中というものはどうも生きにくい。